2021/10/18白いしゃくれあご
吾輩は犬である。 名前は白べぇ。 犬ハウスで暮らしておった。 ん?と疑問に思った者もおるであろう。 暮らしておった?なぜ過去形なのだ? そうだ、先日、吾輩は施設を卒業したのである。 吾輩、元来ひねくれ者で、心ゆるした者に関しては躊躇なく甘えるが、そうでない者には容赦しない。 施設の中に、吾輩を特に溺愛する者が2名ほどおる。1人はマッシュルーム少女。吾輩を見ると、吾輩を褒めたぐる言葉をかけているようだが、何やら理性を失い言語崩壊を起こしておる。無理矢理仮名で表すと、吾輩のことをやたらと甲高い声で「つぃろぶぇぇ」のように呼ぶ。失礼な、吾輩は「しろべぇ」である。 もう1人は人間の方のひねくれ者。吾輩も元来のひねくれ者であるが、類は友を呼ぶようだ。 ドッグランの時は必ずと言っていいほど吾輩と追いかけっこをする。そして他の犬も被害をくらっているようだが、理性を失ったようにとにかくカシャカシャとカメラなるものを向けてくる。普通に撮るのに飽きたのか時々吾輩の頭をいじくりまわす。失礼な、吾輩はフサフサの自然な毛が自慢なのである。 この2名はとにかく吾輩をいろいろなところで紹介していたようだ。 吾輩は新しい家族に出会った。上述の2名に負けじと吾輩を溺愛しているようだ。 何やら吾輩にちょうどいいサイズの鞄を用意してくれておる。居心地が良い。 歩き疲れたら、この中で休ませてくれる。 手続きで施設を訪れた時もこの鞄に収まっておった。 マッシュルーム少女も人間の方のひねくれ者も久しぶりの吾輩を見て、いつもの如く理性を失っておる。 この2名、吾輩が施設を訪れるたびに発狂してしまわないか、本当に心配である。
飼育班:島田