2026/01/17海の亡霊
過去の新聞(2025年5月16日付朝日新聞朝刊)に、海中に漂い続けるプラスチック製漁具のゴミ「幽霊漁具(ゴーストギア)」に関する記事が掲載されていま
した。
記事によりますと、海上での悪天候や事故、津波等の自然災害や漁中に漁具が海底に引っかかったり意図的な投棄等により、毎年世界の全漁具の約2%が海中に失わ
れている(中でも巻き網は年間約75,000㎢(日本の本州の広さの1/3)が行方不明)とみられ、合計1,500万トン未満の漁具が世界中の海中に捕獲機
能を保ったまま現在も漂い続け(例えば、北太平洋の中緯度にあるゴミが集まる海域「太平洋ごみベルト」で回収されたごみの75%~86%は漁具だったそうで
す。又、2022年度に日本国内の海岸78地点で回収された漂着ゴミの約3割(重量ベース)が漁具だったそうです。)、アザラシやウミガメや魚類等の海洋生
物を絡め捕って死に追いやり、その死骸が分解されると再び海中を漂い続けて海洋生物の絡め捕りを繰り返し、最終的には波や日光等でマイクロプラスチックに分解され
てさらに海中を漂い続けるそうです。又、ゴーストギアは藻場やサンゴを覆うとそれらの生育を妨げて磯焼けや白化を生じさせたり、船のスクリューに巻き付いて海難事
故につながることもあるそうです。例えば1993年に韓国で292人が亡くなったフェリー沈没事故はロープがスクリューに巻き付いた事が原因の一つとみられている
そうです。
さらに、メキシコのカリフォルニア湾北部に生息する世界最小のイルカの一種「コガシラネズミイルカ」はゴーストギア等の影響により推定生息数は6~8頭だそう
です。又、鹿児島県北西部の海域440㎢で刺し網のゴーストギアにより年間推定34万匹~98万匹、かご式のゴーストギアにより年間推定78万匹~186万匹の海
洋生物が死んでいるという研究報告もあるそうです。又、米海洋大気局等のチームが海中から回収した870個のゴーストギアの中には約3万2千の魚や鳥、哺乳類
等の海洋生物が絡まっていて、魚の93%、鳥と哺乳類は全て死んでいたそうです。
対策としては、漁具に漁船番号等の所有者情報の記載(漁具マーキング)義務化による流出の抑止(台湾はゴーストギアに最もなりやすいとされている刺し網のマー
キングを義務化したそうです(違反者には罰金刑)。)、漁具が引っかかりやすい海底地形エリアのマッピング情報の漁業者らへの提供、漁具のリサイクル推進、一定期
間海中を漂い続けると海の微生物によって分解される生分解性漁具の開発等が世界的に進められているそうです。
私たち人間も魚料理を通じてマイクロプラスチックを摂取しているかもしれません。世界はつながっているのですね。対策が急がれます。

寄付送迎:堀口