2025/05/28ライチョウとの共存の道

 過去の新聞(2024年9月18日付朝日新聞朝刊)に、本州中部の高山帯だけに生息する
国の特別天然記念物ライチョウに関する記事が掲載されていました。
 記事によりますと、ライチョウは天敵(テンやキツネ等)の高山帯への侵入や気候
変動による自然環境の変化等で推定個体数が約3千羽(1980年代)から2千羽弱(2000
年代)に減少し、環境省のレッドリストでは「絶滅危惧ⅠB類(近い将来絶滅の危険
性が高い)」に分類され、環境省は2014年から保護・増殖に取り組んでこられたそう
です。
 そして中央アルプス(長野県)では1969年を最後に目撃が途絶え一時は(中央アル
プスでは)絶滅したとされたそうですが、2018年に1羽の生息が確認されたことから
環境省は中央アルプスをライチョウが生息可能な環境と判断し、中央アルプスでのラ
イチョウ復活に取り組んでこられたそうです。具体的には、他の山域の個体を移送し
たり、野生の家族を動物園で保護・増殖させて移したりして、現在では中央アルプス
で120羽超の成鳥が生息しているとみられるそうです。
 そして動物園で数代にわたり人工飼育した一族のヒナを中央アルプスに野生復帰さ
せる試みにも取り組まれているそうです。餌となる高山植物には毒素があるため消化
には特定の腸内細菌が必要で野生のヒナは母鳥の糞(盲腸糞)を食べてその細菌を得
ているそうですが、今回は山で採取した野生の成鳥の糞を冷凍乾燥させてヒナに与え
て腸内細菌を獲得させたそうです。又、野鳥のライチョウに寄生するアイメリア原虫
という原生生物への耐性も必要で、体調に影響がない量の原虫を与えて耐性を獲得さ
せたそうです。ただ、まだ現地で実際に高山植物を食べたことはなく、生育環境も含
めてなじめるかが野生復帰の成否を分けるそうです。そして2024年9月17日、木曽
駒ヶ岳(標高2956m)の山頂付近に7羽のヒナが運び込まれ、約1週間ケージの中で過
ごした後自然に放たれる予定(当時)だそうです。そして越冬して成鳥になり自然繁
殖ができれば成功だそうです。
 無事たくましく育ってほしいですね。


 

寄付送迎:堀口

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