2025/01/26高齢者とペット飼育
過去の新聞(2024年5月1日付及び2024年5月2日付及び2024年6月11日付朝日新聞朝刊)に、高齢者のペット飼育の効果や高齢者のペット飼育を支援する取り組みに関する記事が掲載されていました。 6月11日付の記事によりますと、東京都健康長寿医療センターの研究チームは2023年、ペット飼育は介護保険サービス費用を抑制する効果があり、特に犬の飼育は認知症発症確率を低下させる効果があると公表したそうです。 具体的には、 ①埼玉県鳩山町の高齢者460人(平均年齢77.7歳)の2016年1月~2017年6月の医療・介護費を分析した所、ペット飼育者(全体の20.9%)の医療・介護費はペットを飼っていない人(全体の79.1%)の医療・介護費と比べて約半額に抑制されていた。 ②東京都在住の高齢者1万1194人(平均年齢74.2歳)の2016年~2020年の介護保険データによる認知症新規発症例を分析した所、犬の飼育者(959人)は犬を飼っていない人(1万235人)と比べて認知症発症確率が40%低かったそうです。 犬の飼育者の中でも運動習慣があり社会的孤立をしていない人の認知症発症確率は特に低かったそうです。 この結果から、犬の散歩等の運動や地域住民とのつながりは認知症発症確率を低減させると考えられるようです。ちなみに猫の飼育者(704人)については猫を飼っていない人(1万490人)と比べて認知症発症確率は大差なかったそうです。 この様に高齢者のペット飼育は高齢者の健康促進に効果があり生活の質の向上に貢献する一方で、飼育者が入院や施設入所等飼育困難に陥った場合にペットの預け先や譲渡先が見つからない場合があり社会問題となっていますが、5月1日付及び5月2日付の記事ではその問題の打開策(いずれも猫飼育)が紹介されていました。 5月1日付の記事によりますと、大阪市(本社)の事業所「ねこから目線。」は猫の「飼い続ける支援」と「飼い始める支援」に取り組まれているそうです。「飼い続ける支援」とは、高齢の飼育者宅にペットヘルパー(同所スタッフ)が定期的に訪問して猫用トイレの洗浄(丸洗い)や爪切り等の世話(1回3千円)をしながら飼い猫の様子を見守り、飼育者が飼育し続けられなくなった場合に譲渡先を調整してくれるそうです。そして「飼い始める支援」とは、高齢者に動物愛護団体の保護猫を譲渡してペットヘルパーを定期的に利用してもらいながら飼育してもらい、飼育困難になった場合は譲渡元の団体が猫を引き取ってくれるそうです。 又5月2日付の記事によりますと、札幌市のNPO法人「猫と人を繋ぐツキネコ北海道」は猫の「永年預かり制度」に取り組まれているそうです。「永年預かり制度」とは、同法人が保護し所有している猫を高齢者が預かって飼育し、病気等で飼育困難になった場合は同法人が再び引き取るそうです。基本的に預かる猫は選べないそうですが、希望者と事前に面談の上で同法人がマッチングし、2015年~2023年に415匹の保護猫が60~80代の高齢者に預けられてきたそうです。その内飼育者が飼育困難となって同法人が引き取った猫は16匹にとどまり、その後ほとんどは再譲渡できているそうです。猫の引き取り数は予想を大きく下回っているため、同法人もこの水準であれば団体としてのリスクはほとんどないと考えているそうです。 いずれにしても、動物好きのお年寄りにとっては朗報ですね。
寄付送迎:堀口