2024/07/31馬との共存の道

過去の新聞(2024年1月27日付朝日新聞朝刊別紙、2024年4月16日付朝日新聞朝
刊)に、競馬や乗馬から引退した馬に関する記事が掲載されていました。
2024年1月27日付の記事によりますと、日本で生産されている馬は年間8千数百頭
程度(食用馬を除く)だそうですが、その内9割程度が競走馬になり残りが乗用馬に
なるそうです。競走馬が引退すると繁殖に使われる馬は成績優秀だったごく一部で、
残りの一部が乗用馬に転用され、多くは廃棄処分(主にペットフード)となるそうで
す。また乗用馬も20歳程度で定年を迎え、廃棄処分となることもあるそうです。
一方、引退馬の飼育施設は全国に約200あり、計500~1,000頭が暮らしている
(内、GⅠ勝利等の実績がある「引退名馬」は約200頭)そうですが、馬の寿命は25~
30歳程度であることから廃棄処分が無ければ計算上日本には4万頭以上の引退馬が生
きていることになるそうですから、引退馬の大半が廃棄処分されていることになりま
す。
競走馬の馬主の方の多くは一般に馬と触れ合うことがほとんどないそうで、「馬は
経済動物である」という考え方に立って引退馬を廃棄処分される方が多くいらっしゃ
るそうです。乗用馬には適性があり乗馬クラブの収容力にも限りがあるため、大半の
引退競争馬は終生飼育施設に預けられない限り廃棄処分されてしまうようです。
又、2024年4月16日付の記事によりますと、競馬業界関係者(日本中央競馬会
(JRA)や地方競馬の関係者、馬の生産者、馬主、調教師、騎手等)が評議員や理事
として加わって、引退競走馬の一時預かり事業を担う一般財団法人「サラブレッド・
アフターケア・アンド・ウェルフェア」が2024年春に組織されたそうです。宇都宮市
のJRA施設内に引退競走馬の待機場を設けて1~2カ月程約30頭を無償で預かり乗馬用
の再トレーニングを受けさせ、新たな受け入れ先が見つかるまでの「時間稼ぎ」をす
るそうです。
競走馬は一般的に3~6歳で引退するそうですが、最近は競走馬の厩舎に空きが少な
く、勝てない馬が長く居ることへの風当たりが強くなっているそうです。そして引退
する競走馬は年間約6千頭にのぼるそうですが、馬の飼養には1頭あたり月10万円程か
かるため、引退した競走馬を一刻も早く手放したい馬主の方が多いそうです。
一方で、競馬ブームの再燃(JRAの売上は2023年まで12年連続増加、地方競馬も
2023年の売上が過去最高)を受けて国内の競走馬の生産頭数は2013年から右肩上がり
で増加している(近年は年間8千頭弱)そうです。
このため、この一時預かり事業については「受け入れ規模は十分ではなく預かり期
間も短すぎる」「待機場を出た後の生存確認まで責任を持つべきだ」「人と馬との関
わりの機会を増やし、馬が活躍できる場を広げていかなければ根本的な課題解決は難
しい」等の意見もあるそうです。
結局、生産性のない馬(引退馬)の生存権は必ずしも保証されていないということ
でしょうか。馬主の方の誰もが引退馬を使い捨てずに終生責任をもって面倒見る(飼
育施設に預ける)時代になるといいですね。

寄付送迎:堀口

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