2019/12/17象牙のゆくえ

先日の新聞(8月22日付及び8月29日付朝日新聞朝刊)に象牙取引をめぐる国際会議に関する記事が掲載されていました。
どういう事かと申しますと、絶滅の恐れのある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の締結国会議においてアフリカゾウの象牙取引をめぐる議論が8月21日及び27日にあり、深刻な密猟被害を訴えるアフリカ諸国が当初「全世界の象牙市場の完全閉鎖」を提案し、最終的には「各象牙消費国は各国内市場が密輸や違法取引に関与していないと証明しなければならない」旨の決議が採択されたそうです。
象牙は古くから宝飾品等として珍重され高値で取引されていて密猟が後を絶たず、アフリカゾウの推定個体数は1979年の約134万頭から2016年の約42万頭にまで大幅に減っているそうです。アフリカ東部のタンザニアでは2006年から2016年までの10年間でゾウの個体数が60%減少したそうです(原因の大半が密猟)。
前回の会議(2016年)では密猟や違法取引に関わる国内市場の閉鎖を勧告する決議の採択に踏み込み、中国では2017年末に国内での製造・取引を禁止する等、世界的に象牙市場閉鎖の流れが進んでいるそうです。
日本では「種の保存法」に基づき1995年から全形を保つ象牙の登録制度が始まり、アジアゾウの象牙は1980年11月、アフリカゾウの象牙は1990年1月より前に輸入されたもの(及び特例として1999年と2009年に南部アフリカより輸入された象牙合計約90トン分)が合法の扱いとなっているそうです。今年7月からはその登録要件が厳格化され、輸出入の書類等が無い場合は登録申請者の自己負担で象牙の放射性炭素年代測定を行い象牙の本体(ゾウ)が亡くなった時期が上記期限より前である事を証明しなければならなくなった模様です。
しかしながら、加工された象牙は同登録制度の対象外ですから、象牙加工商品は海外との違法取引の温床になりうると指摘されており、今回の会議で採択された決議によると今後象牙加工商品についてもそれぞれ合法であることの証明が必要になる可能性があります。具体的には各象牙加工商品毎に合法であることを証明する書類を揃える(さもなければ放射性炭素年代測定等を行う)必要が出てくるのかもしれません。
今後、象牙加工品はますます貴重品になりそうですね。

寄付送迎:堀口

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