2022/05/05ニンニンニン
吾輩は犬である。 名前はししまる。三重県の伊賀からやってきた、募金活動にも参加している当施設のちょっとした有名犬である。 さて、その募金活動なのだが、吾輩と共に行く相方の1人は、何故だか時代に乗り遅れすぎて未だ白亜紀を夢見るひねくれ者の頻度が無駄に多い。吾輩以外の募金犬はいろいろな人と行っているのに、何故だか吾輩はひねくれ者率が高い。 吾輩は現役募金犬の中では経歴が一番長い。 先輩として、ひねくれたこの男の相手をするのは当然なのかもしれない。 このひねくれ者は、昔から吾輩のことを「しし」と呼んだり「おしし」と呼んだりする。 ん?吾輩は犬である。 おししは吾輩である。 …いや待て、今回は吾輩ししまるの話である。横槍を入れないでもらいたい。ひねくれているからこんなややこしいことが起こるのだ。 本題に戻ろう。 吾輩は募金先ではとにかくおとなしい。これが募金活動を長年やってきた貫禄というものである。 ひねくれ者の後ろに隠れているだと? 失礼な、賢者は無闇にわんぱくなどしない。 決して怖がりなわけではない。重要なことなので繰り返すが、決してひねくれ者の後ろに隠れているわけではない。吾輩と触れ合ってくれるお客さんにはペロペロもする。これが熟練というものだ。 施設内での吾輩はというと、やはり賢い。 ひねくれ者がボールを持ってきたら、しっかり遊んでやる。これをすることでひねくれ者は喜んで、薄っぺらい四角なものをカシャカシャするのである。 ひねくれ者はボールを持って走り回る。息を切らしてまでしてカシャカシャしておる。 吾輩もそれに付き合わなければならない。 ひねくれ者に負けぬぐらい楽しんでおるように見えるかもしれないが、これはあくまでひねくれ者の相手をしてやっているのである。吾輩がひねくれ者と遊んでやっているのだ。 遊び終えたひねくれ者と吾輩は上機嫌で帰るのである。 そして、ひねくれ者はカシャカシャした結果をドヤ顔で見せびらかしに行くのである。 ひねくれ者は至極単純なのである。
飼育班:島田