2023/08/05チンパンジーへの恩返し

過去の新聞(2022年10月27日付朝日新聞朝刊)に医学実験に使われたチンパンジーが暮らす施設に関する記事が掲載されていました。
記事によりますと、チンパンジーは遺伝的にヒトに近く、マウスや他のサルには感染しないC型肝炎ウイルスにも感染し、またC型肝炎ウイルスに感染しても肝炎や肝がんに発展しにくい等倫理的な問題は少ないとして、1970年代以降日米欧各国で肝炎の研究の為にチンパンジーに肝炎ウイルスを接種して感染させる実験が行われていたそうです。
しかし、チンパンジーは絶滅危惧種であり近年肝炎ウイルス感染によるチンパンジーの様々な健康への影響が明らかになってくる等倫理的に不適切との観点から、2000年代に入り世界的にチンパンジーを使った医学研究は無くなったそうです。
医学実験に使われたチンパンジーの中には、C型肝炎ウイルスの持続感染に苦しむ個体もおり、その場合血が固まりにくかったり感染から20~30年経って全身性の病気になったり約10年寿命が短くなるそうです。
しかし、チンパンジーの持続感染の治療にはヒトのC型肝炎治療に有効性が高い飲み薬が有効とみられているそうです。
そこで、動物実験に使われたチンパンジーが余生を過ごすための熊本県宇城市にある国内唯一の施設「京都大学野生動物研究センター熊本サンクチュアリ」では、8頭いる持続感染のチンパンジーをその薬で治療するための資金(1頭あたり約400万円)をクラウドファンディングで募った結果、最終的に2414万円集まったそうです(https://readyfor.jp/projects/ks_kyoto-u_2/accomplish_report)。
そして2023年6月23日に、めでたく1頭目の治療成功が確認されたそうです(https://readyfor.jp/projects/ks_kyoto-u_2/announcements/273194)!
一方残念なことに、これら8頭の内1頭だけウイルスに薬剤耐性の変異が生じていることが判明したため、この1頭だけは第1選択薬が効かず次善の薬による治療を検討されているそうです(https://readyfor.jp/projects/ks_kyoto-u_2/announcements/252206)。
人類の医療福祉向上に貢献してくれて傷ついてしまったチンパンジーを何とか救ってあげたいと思わずにはいられませんね。

寄付送迎:堀口

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