2023/12/05ウミガメとの共存の道

過去の新聞(2023年8月18日付朝日新聞朝刊)に、人とウミガメとの共存問題に関
する記事が掲載されていました。

記事によりますと、沖縄県久米島の浅瀬で長さ数百mの帯状の網に魚を絡めて捕る
刺し網漁では度々網にウミガメが絡まり、(食用や飼育の為に事前に申請したウミガ
メの捕獲の場合を除き)その度にウミガメを網からほどいて逃がすことになっている
そうですが、ウミガメを逃がす際に高価な漁網を切らなければならなかったり体重が
何百kgにもなるウミガメが暴れれば人がけがを負う危険もあるそうです。

そして2022年7月のある刺し網漁では網に50匹ものウミガメが絡まったそうです。
その漁を一人でされていた漁歴40年以上の漁師さんは、最初の5匹位のウミガメはな
んとか救出したそうですが、残りのウミガメは救出できず仕方なく首のあたりを刺し
て浅瀬に放置したそうです。その後浅瀬は潮が満ちてそれらの瀕死のウミガメの消息
は不明となったそうですが、この事件を受けて久米島漁業協同組合ではウミガメの混
獲を減らすために、ウミガメが増える夏場の漁期を短くしたり大量の混獲で手に負え
なくなった時のための連絡体制を整えたそうです。また、久米島周辺海域上空に定期
的にドローンを飛ばしてウミガメの数や生息密度や個体のサイズなどのデータを蓄積
し、調査結果次第ではウミガメの資源利用(食利用等)も視野に入れているそうで
す。

国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されて日本でも保護の
対象となっているアオウミガメは保護活動が功を奏して個体数が回復している地域も
増えてきているそうですが、久米島ではウミガメ増加による混獲やモズクの藻場減少
のウミガメによる食害疑惑が問題になってきているそうです。

自然環境の生物多様性を守るために外来生物だけではなく本来保護対象であるはず
のウミガメですら個体数が増加してくると今度は個体数調整の対象になり得るという
のは、人が生活していく上で自然環境と共存していく事の難しさを改めて思い知らさ
れます。

寄付送迎:堀口

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