2021/02/16吾輩ハ猫…デハナイ

吾輩は犬である。名前はビストロ。
老犬部屋で暮らして居る。この部屋には硝子戸と小さな門を隔てて庭がある。日中、吾輩はこの庭で日光浴をしている。
この部屋では何やら昼時になると人間が数人ベラベラと騒々しく食事をとるようだ。
庭から硝子戸の中を覗いてみる。

寝癖が激しく独特な柄の服を着ている髪嵐、輝くほど滑らかな頭の黒シャツ、足の甲に変な絵を描いているひねくれ坊、この3人はここの常連であるようだ。
いつもの如く食事をしながら訳のわからぬ無駄話をしている。
会話の内容などに関心はない。それでも吾輩の足はその連中の方へ向かっていく。吾輩はその人間たちの膝に興味があるのだ。吾輩は人間の膝の上で休むことが好きなのである。


ただ、この人間たちが椅子と呼ばれる物に腰を下ろしているのは厄介だ。吾輩は高い位置にある膝まで自力でよじ登らなければならぬ。だが方法は熟知している。前足を出来るだけ大きく膝にかけ、あとはひたすら後ろ足でもがけば良いのだ。そうすればその椅子とやらに後ろ足が引っかかりよじ登ることができる。場合によっては例のひねくれ坊が自ら抱き上げ乗せてくれる。

思うツボだ。
こうして吾輩の苦労は報われる。なんとも居心地の良い所なのだ。
おまけに無事膝上に到着すると、常連の3人はたちまちはしゃぎ出す。腹を見せると尚のことである。それから何やら薄っぺらい四角な物を取り出してカシャカシャ変な音を立てる。特にひねくれ坊はしつこい。少し騒がしいが吾輩は気にしない。ここで休めさえすれば良いのだ。
「おい、これ猫がする行動だろ。本当に犬なのか?」3人が愉快そうに話している。

失礼な。吾輩は犬なのである。

飼育班:島田

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