2022/03/09個性のかたまり
吾輩は犬である。
名前はうづき。丹波からやってきた。
毎日14時頃になると、外を走り回ることができる。この時間になると、いつもの人間が広場に集まる。
変な馬のような生物を身にまとっている髪嵐やハーメルンの笛吹きのように犬を連れ回すおやつ娘、頭が光る君、無愛想な筋肉男、ちょんまげ、そして時代遅れのひねくれ者が犬と戯れておる。
よくもまぁ、こんな個性的な面子が集まったものだ。
さて吾輩はというと、この個性的な人間の相手をしなければならない。
個性的とは言いつつ、この者たちは至極単純である。吾輩が近づいてまずペロリと舌を出す。
そして上目遣いをしながら尻尾を左右に振る。
それだけでこの者たちは満足そうに喜ぶ。
しかもこの個性豊かな者のうち数人はおやつまでくれるのである。吾輩はさらに追加ではしゃぎ、おやつをもらうのである。
おやつをもらってはしゃぐ吾輩こそ単純だと言う者がいるかもしれない。失礼な、吾輩はあくまでこの常連たちを喜ばせてやっているのだ。決しておやつが欲しいからやっているのではない。
おやつをもらった吾輩の顔が満面の笑顔に見えると言う者がいるかもしれない。失礼な、もともと吾輩は玉のような顔なのである。おやつをもらって顔が綻んでいるわけでは決してない。
さて、ここで一つ大事な話がある。
吾輩は「吾輩」という一人称を使わされているが、吾輩は女子なのである。相変わらずひねくれている人間がひねくれた文章をひねくり回しているのである。
飼育班:島田