2019/09/16「譲渡不適切」な犬猫と生存権
先日の新聞(5月28日付朝日新聞朝刊)に全国自治体における犬猫の殺処分数の数え方についての記事が掲載されていました。
どういう事かと申しますと、全国自治体における犬猫の殺処分数を調査管理されている環境省が今年度から、各自治体が独自の判断で「攻撃性がある」等と判断した犬猫を「譲渡不適切」と分類して殺処分した場合は従来の殺処分数から除外する(同様に収容中に傷病死した犬猫も従来の殺処分数から除外する)数え方に変更されるそうです。
現行動物愛護法では自治体は「殺処分をなくすことを目指す」事とされているため、多くの自治体が収容した犬猫の譲渡先を探して殺処分ゼロを目指されているそうです。その事自体は大変喜ばしい事であると思われるのですが、「殺処分ゼロ」を目指すあまりに、収容した犬猫を恣意的に「譲渡不適切」に分類して「譲渡に適した犬猫の殺処分ゼロ」を「犬猫の殺処分ゼロ」として公表する恐れが出てきた模様です。
例えば東京都は「犬猫の殺処分ゼロ」を目標に立てておられるそうですが、「犬猫の殺処分ゼロ」を達成したと発表された昨年度には「譲渡不適切」と分類した犬猫を146匹(速報値)殺処分されたそうです。
東京都としては「努力で減らせる殺処分をゼロにしていく」との方針だそうです・・・(ちなみに私共日本アニマルトラストでは譲渡の適切不適切を問わず殺処分及び安楽死は一切しておりません。又、犬につきましてはしつけ訓練を通じて攻撃性等を矯正して譲渡を推進する活動に取り組んでおります。そして、猫につきましては安心して落ち着ける様に飼育環境下においてすみ分けを行っております。)。
そもそも犬猫の「譲渡不適切」の分類を一昨年度時点で既に始めている自治体においても、「譲渡不適切」の判断基準やガイドラインを策定している自治体(例えば兵庫県は子犬では1次判定で人への恐怖心や健康状態等、2次判定で5項目の性格判断をする等して総合的な判定を下されるそうです)はまだ7割程であり、先述の東京都の場合はガイドライン等を策定されずに都動物愛護相談センターに勤務されている複数の獣医師の方々がその都度判断分類されているそうです(5月28日時点)。
収容中の傷病死数はともかく、「譲渡不適切」と判断された犬猫の殺処分数を環境省が今年度から「犬猫の殺処分数」から除外するという事は、(各自治体の「譲渡不適切」の判断分類の客観的合理性の保障も大きな課題であると思われますが)「譲渡不適切」と判断された犬猫には(しつけ訓練もすみ分けも無く)もはや生きる権利は存在しないという事でしょうか?
皆様はどう思われますか?
寄付送迎:堀口